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  • 執筆者の写真umechante

神秘の白猫さんのお話

更新日:2023年6月24日


 

聴覚障害はホワイトの猫さんには宿命の様なもので、もしかすると青眼の猫は耳が聴こえない、くらいはお聞きになった事があるかも知れません。ソリッドホワイト(被毛が単色の白)で両眼が青い目の猫にはかなり高い確率で難聴が発生します。


個人的には難聴で当たり前くらいに思っています。というのも、自身も含め友人のところでも何頭もブルーアイホワイトを見てきましたが、健聴だった子に出会ったことが私はないです。何十年とソリッドホワイトを扱っているベテランブリーダーさんの中には健聴だった子もいるとは思いますが。


そしてホワイトでも、ポインテッドなど他の色が入った毛色はその限りではありません。



良く間違われるのですが、アルビノではありません。もちろん稀に猫にもアルビノは生まれますが、アルビノだったら赤眼になります。ざっくり説明すると、アルビノは被毛は白いですが単純に言うと色がない、故に血管が透けて見え赤い目になるのに対し、白い猫は白色遺伝子によって被毛が白くなるので、しっかり眼色を持って産まれます。同じ白猫でもそもそもが違うのです。



ソリッドホワイトでも青い目だけ産まれる訳ではなく、交配させる両親の遺伝子によって目色はゴールドもカッパーもオッドも産まれます。その内、両眼がブルーの場合は両耳が聞こえない、オッドアイなら青い目の側の耳だけ聞こえない、ゴールド、カッパーなら健聴、というのがセオリーです。あとは最初は聞こえていても、徐々に聴力を失う子もいます。しかし、大体は先天性のものなので、後天性は稀です。



ブルーアイでもごく稀に聞こえる子も居ますし、オッドアイでも左右どちらがブルーになるか産まれてみないと分かりません。例えば、親猫がオッドアイで左目が青くても、それがそのまま子猫に引き継がれる訳ではありませんので、右目が青い子も産まれます。正直、産まれてみないと分かりません。これも遺伝学上、様々な要因があって交配する遺伝子によって変わります。



それから、子猫が青い目をしているのをキツンブルーとも言いますが、この場合の青い目と、白猫のブルーアイとは全く性質が異なりますので、青い目の子猫が聴覚障害を持っているという事ではありません、念の為。



ショースタンダードやペディグリー表記においても、ホワイトは目色をセットで言うのが通常で、ゴールドアイホワイト、カッパーアイホワイト、オッドアイホワイト、そしてブルーアイホワイトという言い方をします。



オールカラーの猫種をブリーディングしていて、特にホワイトを扱うブリーダーにとって聴覚障害は特別珍しいものではなく、そして通常オッドアイの子は片耳は健聴なので生活に問題はありません。 


梅千代さんの場合は片側がゴールドです。ですが片耳ではなく両耳が聞こえません。これも稀に起こり得ます。そうすると初心者には飼育が難しい問題が出てきます。1匹で完全室内飼いの場合は問題ない事が多いですが、聞こえない苛立ちからか、のちに性格に支障が出る事があります。



飼育が少し難しいので初めて猫を飼う方にはハードルが高いかと思われます。つまり全く音が取れないので呼びかけには反応しないですし、危険察知が遅れる危ないシチュエーションが多々出てきます。


野良猫や外飼いの成猫さんで、ブルーアイホワイトをあまり見かけないのは、聞こえないが故に交通事故で早々に亡くなってしまうからだと予測されます。自然界では先ず 長生きしないでしょう。


他の猫の気配を察知するのが遅れるので驚いたり怯える様になる子もおり、一般の方にお譲りする場合は多頭飼いは避けてもらう様に伝える事が多いです。



ブリーダーも、新人さんでホワイトをブリーディングするのは難しいから避けた方がいいと言われた事がある方もいると思います。繁殖やグルーミングが難しいのもあるのですが、ただでさえ走り回る無邪気な子猫を、譲渡までに耳が聞こえているかどうかを確認するのも新人さんには難しいからだとも言えます。


ただ、オールカラーのブリードをやっていると、いずれホワイトを作出したい(あと本キャリコね)とは思うものなので、挑戦するブリーダーさんを個人的に応援はしています。



というわけで。そういった事情から、梅千代を産ませた友人も素人さんに譲渡するのに不安を抱いており、頭数の問題でこれ以上は手元に置けないと考えあぐねていた所に、私が偶然遊びに行ったわけです。


私が一番最初にブリーダーになった頃はスコ専門で、その後スコをやめてアメショになったわけですが、元々オールカラーを扱ってきたので慣れているのと、梅千代と出会った時は後発のブログでも触れる予定ですが、たまたまシニア猫を見送った後で猫さんが居なかったこと、タイミングが合ったというか、「うち今ゼロだから引き取ろうか?」と提案し、友人もそれなら安心だとトントン拍子に話が進んで…梅千代は我が家の最後のスコとして、晴れて家族になりました。


交配に使う予定は最初からなかったので、適正時期で避妊をし、現在に至ります。



ブリーダーによって好みは様々ですが、時代が違えばショーに出したのに、と思うほど梅千代は素晴らしいタイプの子です。特にアゴが最高。女の子ですが大きさもタイプも男の子に見劣りしません。ほぼ外国の血なので国産には無い骨の太さ、ボディバランス、ペルシャほどいき過ぎてない、それでいてこの潰れたお顔は素晴らしいクオリティだと私も友人も思っています。


ショーに出して見せびらかしたい欲に駆られましたが笑 ただ悲しいかな、その当時は立ち耳のスコはショーに出陳出来ませんでした。例えばHHP(家庭猫部門)に出すという手もありましたが、両耳聴こえないのにそうまでして疲れさせたくなかったのでやめておきました。



現在は立ち耳でも出陳出来るカテゴリーがあります。しかし齢10歳を超えて耳が聞こえない状態でストレスを掛けるのも可哀想なので、今後もショーに出す予定は全くありませんが、この素晴らしいスコと、白猫の不思議を皆さんにも知って頂きたいので こうしてブログに残す事にします。

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